
KT(韓国テレコム)は、全国規模の通信インフラを基盤に、有線・無線通信、インターネット、IPTV、企業向けソリューションなど、多様なサービスを提供する韓国を代表する通信会社です。従来のオンプレミス中心のITインフラを、Microsoft Azureベースのクラウド環境へ段階的に移行しており、それに伴い、ITモニタリングシステムもオンプレミスとクラウド環境を統合できるよう、ハイブリッド環境向けに再整備しています。

KTは実際の運用現場でZabbixをはじめ、オープンソース、自社開発ツール、商用ツールなど8種類以上のツールを業務ごとに使用しており、様々な問題を抱えていました。
まず、技術的なメンテナンスの面では、オープンソースツールへの依存度が高く、スキルフルな開発人材が退社してしまうと、システムを安定的に維持することが難しい状況が度々発生していました。また、インフラ、アプリケーション、ログ、URL などコンポーネント毎に異なったツールを使っていたため、システム全体の状況を一目で把握し、問題発生時に迅速に原因を見つけて対応できる「統合可視性」が欠如していました。
コンテナベースのクラウド環境では既存のモニタリングツールの限界も明確になりました。特に、オープンソースベースのAPMツールは、KubernetesやOKD環境に対応していなかったため、コンテナ環境に対するモニタリングが不可能でした。一部のサービスにはグローバル規模の商用ツールを導入しましたが、ライセンス費用が高く、リアルタイムな分析機能にも限界がある等、多くの制約がありました。

これらの様々な問題は、KTがクラウドへの移行を本格化するにつれてさらに明確になり、KTは拡張性と統合可視性を両方備えることができる新しいモニタリング体制への移行を進むことを決断しました。
KTは、オンプレミスとMicrosoft AzureのSaaS環境を網羅するハイブリッドITインフラを運用しており、次の基準に基づいてIT統合モニタリングプラットフォームであるWhaTap モニタリング (WhaTap Monitoring) を導入することになりました。
KTは段階的にクラウド移行を進め、オンプレミスとAzure環境を並行運用してきました。WhaTapは、オンプレミス型とSaaS型の両方で同じ機能を提供し、インフラのクラウド移行に伴うモニタリング体制の一貫性を維持できるよう支援しました。

KTではインフラ、アプリケーション、ログ、URLなど、監視対象別に異なるモニタリングツールを運用してきました。WhaTapは、アプリケーション、サーバー、DB、Kubernetes、ログ、URL、Azure環境まで一つのプラットフォーム上で統合モニタリング機能を提供し、一元化したモニタリング体制を実現させました。
WhaTapのエージェントは、高いトラフィック環境でも負荷なくデータを収集。SaaSサービスを通じて運用コストを効果的に軽減できるよう設計されています。特に、KTの要望に合わせて95/90/75/50パーセンタイルベースのレスポンスタイム分析機能を追加し、パフォーマンス改善対象を精密に識別してシステム最適化を図ることができました。

KTは、個人情報の保存を最小限に抑え、既存のLDAPや他のモニタリングツールとの連携を含む社内ポリシーに沿った技術的要件を提示しました。WhaTapはこれらの要望に柔軟に対応し、セキュリティとシステム連携の両面で高い適応力を発揮しました。

KTは、最初にオンプレミス環境にあり12の業務システムにWhaTapモニタリングを導入しました。その後、Microsoft Azureに移行するサービスにもSaaS型のWhaTapモニタリングを適用し、モニタリング範囲を段階的に拡大しています。
これまではZabbix、オープンソース、自社開発のログ/URL/ビジネスモニタリングツールなど、異なる個別ツールを並行して使用していました。しかし、WhaTapに一本化することで、統合モニタリングプラットフォームを構築できました。特に、KubernetesやOKDのコンテナ環境でもリアルタイムなトランザクション追跡とリソースモニタリングが可能となり、複雑なインフラ構成の可視化が実現しました。

LDAPや自社開発のモニタリングツールと統合し、全社規模の運用基盤を構築。既存のレポート体制に適応したテンプレートベースのレポートを提供し、スムーズなシステム導入を支援しました。Azure移行後はSaaS型のWhaTapサービスを活用し、柔軟な従量課金モデルを適用しました。
現在、WEBユーザー体験のリアルタイム品質測定を目的として、ブラウザモニタリングのPoC(実証実験)を進行中です。モニタリング範囲をフロントエンドレベルまで拡大する方向で検討しています。
統合モニタリングプラットフォームの導入により、KTは複雑なIT運用環境を迅速かつ効果的に管理できるようになりました。
PostgreSQLやEDBなどのオープンソース系データベースのモニタリングも可能となり、システム全体のパフォーマンス可視性が大幅に向上しました。また、分散していた業務ごとのツールを統合し、メンテナンスに伴うリスクを大幅に削減しました。

KTの要望に応じて開発されたパーセンタイルベースのレスポンスタイム分析機能(95/90/75/50)は、極端な値を除外し、主要なボトルネックを精密に特定するのに有効です。現在、WhaTapの標準機能として正式リリースを予定しています。
さらに、個人情報保護方針に従い、WhaTapサーバー内の個人情報の保存を最小限に抑える機能を導入しました。Azure環境でもSaaS型のWhaTapサービスを活用することで、オンプレミスと同等の品質を維持し、全社的に安定した運用基盤を構築しました。
KTの事例は、ハイブリッドインフラ環境における、統合モニタリングシステムを構築が単なる技術的なリプレイスにとどまらず、運用効率、セキュリティ、拡張性を確保できる戦略的な選択であることを示しています。
WhaTapは、オンプレミスとクラウド環境を統合したシステムでモニタリングを実行。多様な業務システムを一つのプラットフォーム上で統合監視できるようサポートすることで、KTのクラウド移行とシステム統合プロセスを安定的に支えています。
一つのダッシュボードで全社システムを統合・俯瞰し、内部ポリシーや技術的要件に柔軟に対応できるソリューションを検討しているのであれば、KTの選択のように、WhaTapは十分に検討する価値のある選択肢となるでしょう。