
💡 AI(人工知能)との対話によりモニタリングのあり方が変わりつつあります。画面認識、実データ分析、ダッシュボード自動生成など、運用ナレッジの属人化を解消できる5つのAI活用スタイルを、実際の画面とともに紹介します。
こんにちは。AIネイティブなオブザーバビリティプラットフォーム、WhaTap(ワタップ)です。
「同じ監視ツールを使っていても、人によって得られる分析結果や気づきがまったく違う」
複数のIT運用組織を経験した、あるエンジニアの現場で起きている問題です。同じオブザーバビリティ(Observability)ツールを使っていても、ツールへの慣れ具合や運用経験によって、導き出される結論は変わってきます。データが足りないのではなく、データを読み解くスキルが一部のメンバーに集中している。いわゆる、運用ナレッジの「属人化」です。
この課題は、日本の運用現場では特に切実ではないでしょうか。「あのダッシュボードの見方は◯◯さんしか分からない」「委託先に聞いてみないと状況が分からない」など、心当たりのある方も多いはずです。
実際に、グローバルのエンジニアリングリーダー407名を対象としたMiddlewareの「2026年オブザーバビリティ現況レポート」によると、チーム全体の約73.5%が、毎週2時間から10時間を事後対応型の根本原因分析(Reactive RCA)に費やしていることが分かりました。蓄積されたデータから答えを見つけ出す作業が、依然として人の時間と熟練度に依存しているということです。
理由はシンプルです。目的のデータにたどり着くには、まず画面の場所、フィルター、クエリの使い方を覚える必要があります。どこを見ればよいかで最初につまずき、指標の意味を解釈するには経験が求められます。結果として、質問と分析の業務は少数の担当者に集中してしまいます。
近年、オブザーバビリティツールに対話型AIが組み込まれるようになり、属人化の問題を解消する取り組みが本格化しています。モニタリングを、データを「見るもの」ではなく、AIに「聞いて対話するもの」として捉え直す流れです。

この記事では、AIと対話しながら運用するスタイルが、モニタリング画面上で実際にどう行われるのかを、5つに分けて実際の動作画面とともに紹介します。
🎯 対話型AIを活用した5つの運用スタイル
具体的な例を見ていく前に、整理しておきたいことがあります。従来の監視ツールでデータを探索する方法と、AIと対話しながらデータを探す方法は、出発点から異なります。
従来の方法は、ユーザーが画面構造を学習することを前提としています。どのメニューにどのウィジェットがあり、どのフィルターやクエリ構文を使えば目的の値が得られるのかを知っている必要があります。
一方、対話型では、ユーザーが自然言語で意図を伝えると、AIがそれを適切な画面と検索条件に変換します。「直近1時間でレスポンスタイムが最も遅かったトランザクションを見せて」という一文が、そのまま検索条件になるわけです。

以下で紹介する5つのスタイルは、いずれも表の「対話型AI方式」に基づくものです。
AIと対話しながらモニタリングするスタイルの出発点は、「現在の画面の認識」です。同じ質問でも、ユーザーがどの画面を見ているかによって、答えは変わるべきだからです。
ポイントは、ユーザーが現在開いている画面、画面に表示されているウィジェット、選択中の時間軸を、AIが自動的に認識するという点です。そのため、「この画面で」「現在の時間軸で」といった条件を、毎回わざわざ説明する必要がありません。画面を閉じて最初から条件を入力し直すのではなく、いま見ている状態からそのまま続けて質問できます。
運用の現場では、この差は小さくありません。障害対応の最中は複数の画面を行き来することになりますが、画面を切り替えるたびにコンテキストを説明し直していては、分析のスピードが落ちてしまいます。画面のコンテキストが質問に自動的に反映されれば、分析の流れを止めずに次のステップへ進めます。

📌 こんな場面に有効! 夜間のアラート対応中、アプリケーションのヒットマップ画面を開いたまま「この時間帯で遅延しているトランザクションの共通点は?」と聞くだけで、画面の時間範囲を前提にした答えが返ってきます。切り分けのたびに条件を組み直す必要はありません。
画面を認識したら、次はその画面のデータを解釈するステップです。単に指標を表示するだけでなく、画面に表示された値をもとにトレンドと異常の兆候を分析し、改善策まで提示するモニタリングスタイルです。
この過程でよく起きる問題が、「数字の意味の解釈」です。ダッシュボードに表示された数字がどの単位なのか、具体的に何を意味するのか、曖昧なケースは少なくありません。単位を読み違えたり、指標の定義を誤解したりすれば、意思決定も誤った方向に進みかねません。
そのため、回答に使用した指標の名前、単位、タイプ、簡単な説明を併せて提示するアプローチが重要になります。ユーザーが数字だけを見て意味を推測しなければならない状況を減らせるからです。
分析の起点が「いま見ている画面」であることにも注目したいです。新しい対話を始める場合でも、以前の対話を続ける場合でも、現在の画面のコンテキストと実データを基準に分析が進みます。わざわざ条件を入力しなくても、いま見ている画面に即したインサイトをすぐに確認できます。

📌 こんな場面に有効! ツール専用のクエリ言語やメトリクスの定義を覚えていなくても、「このグラフ、先週と比べて悪化していますか?」と聞けば、指標の意味と単位の説明付きで回答します。委託先や開発メンバー等へ問い合わせる前に、自分で一次確認ができます。
運用データを可視化するには、一般的にメトリクスを選択し、ウィジェットのタイプを選び、チャートを構成するというステップを踏む必要があります。この作業に慣れていないと、画面をひとつ作るだけでも相当の時間がかかります。
AIと対話するモニタリングスタイルは、こうした構成作業ではなく、ユーザーの分析目的から出発します。質問の意図に合ったチャートを選んで回答に添付し、必要であれば複数のウィジェットを組み合わせたダッシュボードのレイアウトまで自動で構成します。ウィジェットをひとつずつ配置しなくても、分析の流れに適した可視化を作れるということです。
重要なのは、アウトプットを再利用できる点です。生成されたダッシュボードはそのまま保存して再利用できます。一度きりの質疑応答で終わるのではなく、頻繁に確認する画面を数行の対話で構成し、継続的に使うことが可能になります。プリセット型の基本ダッシュボードから、利用目的に合わせた構成まで、同じ流れの中で扱えます。

📌 こんな場面に有効! リリース直後、「今回デプロイしたサービスのレスポンスタイムとエラー率を並べたダッシュボードを作って」と依頼すれば、リリース監視向けの画面がその場で完成します。次回のリリースでもそのまま再利用できます。
モニタリングツールは、データを確認するツールであると同時に、運用に必要な動作を設定するツールでもあります。中でもアラートルール(Alert Rule)はよく使われる機能ですが、設定のたびに別の画面へ移動し、複数の項目を入力する必要があります。
AIと対話するモニタリングスタイルでは、こうした設定を対話の流れの中で処理できます。たとえば「サーバーのディスク使用率が90%を超えたらCriticalアラートを受け取りたい」とリクエストすると、AIが適切なアラートルールを提示します。ユーザーが設定内容を確認して適用ボタンを押すと、そのルールがそのまま登録される仕組みです。
ポイントは、回答の中に適用可能な設定案がボタンの形で表示され、ユーザーがそれを確認した上で実行するという点です。
このAIと対話するモニタリングスタイルのメリットは2つあります。第一に、設定画面へ移動して戻ってくるというコンテキストの切り替えが要らなくなります。第二に、AIが設定を提示しても、最終的な適用はユーザーのクリックを経るため、意図しない設定が自動で反映されるリスクを抑えられます。AIの自律性とユーザーのコントロールの間に、人の確認ステップを安全弁として置く構造です。

📌 こんな場面に有効! 障害の振り返りで「同じ事象を早期検知したい」となったとき、分析していたその画面で「今回と同じ兆候が出たら通知して」とリクエストするだけで、アラートルールの下書きができます。設定画面の項目名を思い出す必要はありません。
運用の規模が大きくなると、監視対象(監視画面)も多岐にわたっていきます。サービスや運用環境ごとに監視画面を分けるとモニタリングはしやすくなりますが、全体の状態をひと目で確認することは難しくなります。個別のダッシュボードをひとつずつ開いて状態を確認する作業が、どうしても繰り返されます。
統合Flexボード(フレックスボード)は、複数の監視対象や製品の指標をひとつの画面に構成することで、この問題を解決します。複数の監視対象の状態をひとつの画面でまとめて確認したいとリクエストすると、AIが必要なウィジェットとレイアウトを組み合わせて統合ボードを構成します。プロジェクトごとに散らばったダッシュボードをいちいち開かなくても、全体の状態を一元化した一つの監視画面で把握できます。
このAIと対話するモニタリングスタイルは、複数の監視対象を同時に担当する運用者や、組織全体の状態を素早く把握する必要のあるマネージャー等に特に有効です。個別監視画面の詳細指標と全体の稼働状況を行き来する時間と手間を減らせます。

📌 こんな場面に有効! 「担当している3つのシステムのAPM、サーバー、DBの主要指標をひとつのボードにまとめて」とリクエストすれば、朝会や定例報告の前にひと目で全体を確認できる画面が手に入ります。報告資料のために複数のダッシュボード間を渡り歩く必要がなくなります。
例を挙げて説明した5つのAIと対話するモニタリングスタイルを貫く流れは明確です。AIが現在の画面を認識し(①)、画面に表示されたデータを分析し(②)、分析結果をダッシュボードとして構成します(③)。さらに、必要なアラートを設定し(④)、複数の監視画面の指標をひとつの画面に一元化します(⑤)。
データを参照するステップから、実際の運用設定を適用するステップまで、ユーザーが画面構造とクエリを学習しなければならなかった負担を、対話型AIが肩代わりする構造です。
この変化の核心的な価値は、運用データへのアクセシビリティを高めることにあります。これまでは、同じモニタリングツールを使っていても、熟練度と経験によって得られるインサイトに差がありました。データを正確に解釈できる人も、一部の担当者に限られていました。
対話型AIは、この差(運用の属人化)を解消します。複雑な画面構造やクエリの使い方を覚えなくても、自然言語で質問すればだれでも必要なデータを確認できるからです。その結果、特定の担当者に集中していた運用ナレッジを開発者、運用者、企画者、マネージャーなど、チーム全体で活用できるようになります。
この記事で紹介した5つの画面は、架空のシナリオではなく、WhaTapに実際に実装され、動作しているWhaTap AIの機能一部です。現在の画面認識から統合Flexボードの作成まで、自然言語で質問して答えを受け取る流れを、WhaTapで直接体験いただけます。

結局のところ、モニタリングにおいてAIが果たす役割は、ユーザーがシステムに「何でも問いかけられる」ようにすることです。良い質問に正確な答えが返ってくるためには、その答えを裏づける観測データがあらかじめ十分に確保されていなければならないという前提は変わりません。ただし、そのデータにたどり着くまでの過程は、どんどん短く、シンプルになっています。
いま見ているモニタリングダッシュボードの画面に、そのまま質問してみてください。WhaTap AIが答えます。
WhaTapを初めてご利用の方は、無料トライアルからお試しいただけます。すでにWhaTapをご利用中の方は、いつもの画面からそのまま「WhaTap AI」をお使いいただけます。
WhaTapモニタリングを無料でお試しください。