

「ネットワークは正常なので、アプリケーション側の問題ではないでしょうか?」
「いいえ。コードは完璧です。DB側でロックがかかっているように見えます。」
IT運用現場でよく聞かれる、いわゆる「たらい回し」(責任の押し付け合い)は、単なる責任逃れではありません。それは、異なるツールで断片化されたデータを見ていることによって生じる必然的な誤解であり、システム全体を見通せない「可視性(Visibility)の欠如」が引き起こす非効率です。クラウドとオンプレミスが混在する複雑なハイブリッド環境において、韓国AXA損害保険もまた、見えないモニタリングの死角と、それによる組織間の信頼低下という運用上の課題に直面していました。
しかし、現在、韓国AXA損害保険の運用現場の様子は一変しました。漠然とした推測ではなく、明確な「データ」が会議テーブルに上がり、インフラチーム、開発チーム、そして経営層までが同じビュー(One-View)を見て、先手を打って障害を解決しています。不確実な推測を確信に変え、IT組織をビジネス革新の核となる部署へと変貌させた秘訣は何でしょうか。
韓国AXA損害保険のITアーキテクチャを統括し、この劇的な変化を主導した朴(パク)エキスパートにお話を伺い、WhaTap(ワタップ)と共に歩んだデータ中心の運用革新ストーリーを直接お聞きしました。

こんにちは。韓国AXA損害保険でITチーフアーキテクト(CA)を務めている朴(パク)と申します。社内全体のITプロジェクトの計画策定と実行を総括し、AXAグループ本社との技術的なコミュニケーション、そして全社的なITアーキテクチャの標準を定義・管理する役割を担っています。
弊社のAXA損害保険は、フランスのパリに本社を置くグローバル保険及び資産運用グループであるAXAの韓国法人です。韓国で初めて「ダイレクト自動車保険」を導入して市場を開拓。現在、約1,500名の従業員が全国的なネットワークを基盤に、自動車保険、長期保険、一般保険などの総合金融サービスを提供しています。私たちは、単に保険を販売するだけでなく、お客様の生活全般を支える信頼されるパートナーとなることを目指しています。

WhaTap導入以前は、グローバルベンダーと一部の韓国製APM(アプリケーション性能管理)ツールを併用していましたが、実際の運用段階では、モニタリングの死角の存在とデータに対する低い信頼性という、二つの重要な問題に継続的に直面していました。
一つ目に、特定のレガシーシステムや閉鎖的な内部環境では、既存のエージェントをインストールできず、モニタリングが不可能な区間(死角)がありました。これにより、障害が発生しても原因を特定できない「ブラックボックス領域」が残り、運用プロセスにおいて大きな制約となっていました。
二つ目に、データ信頼性の問題も常につきまとっていました。従来のツールは主にインフラチーム中心で活用されていたため、開発チームはツールが提供する指標と実際のサービス体感性能との乖離から、データを信頼していませんでした。「ツール上では異常がないのに、実際のサービスは遅い」という状況が繰り返され、モニタリングツールが事実上、無用の長物となってしまうこともありました。
このような可視性の不足は、単に運用上の不便に止まらず、組織全体の信頼を低下させる問題へと繋がりました。障害原因の特定に過度な時間がかかり(MTTRの増加)、開発チームと運用チームの間で責任を押し付け合う、いわゆる「たらい回し」が繰り返されました。
これはIT部門内部の疲労度を高めただけでなく、営業チームや補償チームといった現場部門においても、ITの課題解決能力に対する信頼が低下する結果を招きました。その影響は、最終的に顧客が直接利用するサービスの安定性低下へと繋がり、長期的にはブランドの信頼にも否定的な影響を及ぼしかねない状況でした。

はい。先に述べたような様々な困難が続く中で、『次世代システム構築プロジェクト』を推進していた際、パートナー企業からWhaTapの提案がありました。特に、クラウドとオンプレミスが混在するハイブリッド環境を、一つのプラットフォームで統合的に管理できるツールであるという説明を聞き、導入の可能性を真剣に検討することになりました。
AXA損害保険では、次世代システム構築を機にWhaTapを全社標準モニタリングツールとして選定。「統合(Integration)」と「連携(Correlation)」という二つの戦略を中心に問題解決を進めました。
第一に、ハイブリッド環境全体を網羅するフルスタック(Full-stack)モニタリング体制を構築し、死角を解消しました。モダンアプリケーションだけでなく、既存のレガシーシステムまでをWhaTapの監視範囲に含め、モニタリングレイヤーをアプリケーション(APM)からサーバー(SMS)、データベース(DPM)、そして最終ユーザー体験と直結するブラウザモニタリング(RUM)まで拡張しました。

特に、従来は把握が困難だったクライアント側のエラーや性能低下をブラウザモニタリング(RUM)を通じてリアルタイムで感知できるようになり、インフラからユーザー環境まで、途切れのないEnd-to-Endの可視性を確保することができました。
第二に、「One-View」戦略を通じてデータ信頼性を回復し、協業の基準を確立しました。WhaTap導入後の最大の変化は、インフラチームと開発チーム、そしてCTO/CIOを含む経営層まで、全員が同一のデータと同一の画面を基盤にコミュニケーションを行えるようになったことです。

過去にはチームごとに参照する指標が異なり、責任の押し付け合いが繰り返されていましたが、今ではヒットマップ(Hitmap)を通じてエラーパターンを直感的に確認。問題となっているトランザクションをワンクリックでSQLバインド変数やセッションログまで即座に追跡できます。
さらに、RUMで検知されたユーザー環境のエラーをサーバー側のログと連携分析することで、「システムは正常なのにサービスは遅い」という乖離感を解消し、データに基づいた明確な意思決定プロセスを定着させました。

私は「統合された可視性(Unified Visibility)」を挙げたいと思います。インフラ、アプリケーション、データベース、エンドユーザー体験など、散在していたデータを一つのSaaSプラットフォームで直感的に統合提供することで、運用効率性を大幅に向上させてくれます。
WhaTap導入を通じて韓国AXA損害保険が得た最大の成果は、運用体制全般の「データ中心への転換」です。以前は可視性不足により、障害を定量的に管理することが難しく、原因究明にも多くの時間を要していましたが、今では障害検出から分析までの時間(MTTR)が大幅に短縮され、見えなかった問題を明確な指標で管理できるようになりました。
定性的な側面でも意味のある変化がありました。過去には推測に基づいた議論でチーム間の責任論争が発生しましたが、現在はWhaTapダッシュボードで提供される客観的なデータを基に問題を解決する文化が根付きました。主要なデプロイやイベント時には、関連組織が共にダッシュボードをモニタリングする方式も標準プロセスとして定着し、コミュニケーションと協業のあり方がより体系的に改善されました。
WhaTap導入によって確保したサービスの安定性は、そのまま顧客体験(CX)の向上へと結びつきました。システム障害による顧客離脱のリスクを減らすと同時に、内部的にはIT部門が繰り返される障害対応に費やしていた時間を削減。新規サービス開発といった本来の業務に集中できる環境が整いました。このような変化は、IT組織がもはや「コスト部門」ではなく、ビジネス成果に貢献する信頼されるパートナーとして位置づけられる上で、重要な役割を果たしました。

現在の事後原因分析(Post-Mortem)中心の運用体制を超え、WhaTapに蓄積された膨大なデータを基盤に「障害予測モデル」を構築。「リアルタイムなアラート体制の高度化」を行うことが核心目標です。これにより、潜在的な障害の兆候を事前に捉えて先制的に対応できるシステムを整備し、究極的にはデータに基づいた予測が可能なインテリジェントな運用自動化(AIOps)環境を実現したいと考えています。

韓国AXA損害保険は、WhaTapの導入を通じてモニタリングの死角を解消。データ信頼性を確保することで、運用体制を「データ中心」へと成功裏に転換しました。開発/インフラ/経営層が同一画面を基盤に協業する体制が確立し、MTTR短縮やサービス安定性強化など、具体的な成果も生み出しました。WhaTapは今や、韓国AXA損害保険の複雑なハイブリッド環境を統合的に管理する核心運用プラットフォームとして定着し、全社的な運用効率性強化と顧客体験改善のための基盤を強固に構築しています。
今後、韓国AXA損害保険はWhaTapを中心に、APM/SMS/DPM/RUM全般のフルスタックモニタリングをさらに高度化し、蓄積されたデータを活用して予測に基づく運用とAIOps体制を実現していく計画です。事後対応からプロアクティブな管理へ、そして予測と自動化へと続くこの転換プロセスにおいて、WhaTapは韓国AXA損害保険が金融サービスの安定性と運用革新を同時に実現できるよう、継続的に支援する戦略的パートナーとなるでしょう。